会社が倒産・破産すると、社長・役員は損害賠償責任を負う?法人破産時の責任とは

更新日: September 24, 2020 3:00 AM

倒産後の不安・影響

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Q 経営者からの質問

 会社の資金繰りが悪く、この状態が3ヶ月続くと資金ショートしてしまいそうな状態です。既にいくつか支払いを滞納したり、従業員の給与を一部未払いのまま待ってもらったりしていますが、このままでは資金繰りが改善できず会社の倒産も現実味を帯びてきました。
 しかし、いざ会社を倒産するとなると経営者である私は支払いを滞納している取引先や給与を支払っていない従業員から損害賠償責任を問われてしまったり、個人で別の責任を問われるようなことはあるのでしょうか?教えて下さい。

A 弁護士からの回答

 会社を倒産・破産させてしまったからといって、通常は経営者が損害賠償責任を問われることは無いので安心して下さい。それよりも、現状を踏まえると、今すぐに弁護士に相談し会社の倒産・破産に向けて手続きを開始した方が良いでしょう。損害賠償責任は無くても、経営者個人として会社の借金を背負ってしまうことも珍しく無く、対応が遅れると借金に追われ続け、ご自身の生活が破綻してしまう恐れがあるからです。
 この記事では、会社を倒産・破産させた場合、経営者に生じる損害賠償責任について解説しつつ、損害賠償責任以外でも個人として会社の責任を引き継いでしまうケースを紹介しているので読んでみて下さい。

会社を倒産・破産させると・・・社長や役員は裁判を起こされ損害賠償責任を負うことになる?

会社を倒産・破産させると・・・社長や役員は裁判を起こされ損害賠償責任を負うことになる?

 会社の社長や役員は会社の管理・運営に対して責任を負っており、会社を倒産・破産させるとなると、その後社長個人としてどのような責任を負うことになってしまうのか、疑問や不安を感じる方もいるかと思います。

実際に、会社を倒産・破産させるとなると、社長や役員は会社の責任者として場合によっては個人としても一定の責任を負うこともあります。

この記事では「損害賠償責任」に焦点を絞り、社長や役員が会社を倒産・破産させた場合、どのような状況で損害賠償責任を負うことになってしまうのか解説しているのでまずは、読んでみてください。

会社を倒産・破産すると取引先や銀行、従業員などの債権者から損害賠償責任を問われることはある?

 会社を倒産・破産するという状況では、会社の資金繰りが悪いため支払いが滞ってしまったり、借金を踏み倒してしまっていたりと債権者に対して支払いを滞納しているケースが大半です。 結論から言うと、このような状態で債務の支払いができ無いまま会社を倒産・破産しても、社長や役員個人が滞納先の取引先や銀行などの債権者から訴えられ、損害賠償責任を問われることはありません。

これは、会社(法人)と社長や経営者(個人)が法的には別の存在として扱われているためです。端的に言うと、会社が債務を支払わないまま倒産・破産してしまうことは会社の責任であり、社長や役員個人の責任とは区別されます。そして、会社が倒産・破産手続きを経て消滅してしまえば、その責任を取る会社自体が無くなってしまい、責任も何も無いということです。

しかし、会社の倒産・破産手続きのルールに違反し、不当に手続きを進めて財産を横流ししたりしようとすると、ルール違反として損害賠償責任を負ってしまうことがあるのは事実です。 詳しくは、記事後半の社長や役員が会社の倒産・破産時に損害賠償責任を負ってしまう場合で解説しているので、確認してみて下さい。

会社の倒産・破産時に会社の債務や責任を社長や役員が引き継いでしまう場合

 上でも説明している通り、会社の責任と社長や役員個人の責任は別です。そのため、損害賠償責任に限らず、通常は会社の責任を社長や役員個人が負うことはありません。

 しかし、以下の場合では会社の債務などの責任を社長や役員個人が負うことになってしまいます。

会社の債務に社長や役員が連帯保証人として契約している場合 会社が株式会社ではなく、合同会社・合資会社の場合 会社の倒産・破産手続きの中で、不当な財産隠しや財産の横流しなどの否認対象行為が認められた場合

これらの場合では、会社の倒産・破産に合わせて会社が支払いきれなかった借金を社長や役員個人が肩代わりしなければいけません。そのため、債務を引き継いでしまった社長自身が、会社の倒産・破産に合わせて自己破産をしなければいけないケースも残念ながら珍しくはありません。

また、そうなってしまった場合に、どうにか自己破産後の自身のために財産を残しておこうと、財産の不当な贈与や横流しを行う経営者の方がいることも事実です。しかしこの不当な財産隠しがバレると、破産手続きのルール違反として免責(借金をリセットすること)ができなくなるリスクがあることを覚えておきましょう。

会社の倒産・破産手続き中に社長や役員がやってはいけないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。 経営者や社長が会社の倒産・破産手続きに合わせて自己破産する場合にやってはいけ無いこと。最悪自己破産ができないことも・・・

もし仮にあなたの会社が倒産危機に陥っている中、上記の条件などで会社の債務を引き継いでしまう可能性があるのであれば、今すぐに弁護士に相談することを強くお勧めします。 弁護士に相談することで、倒産・破産手続きのルールに違反しない形で、どうにか自宅や車などの財産を残せる方法を考えてくれたり、何よりも自身が引き継いでしまった債務(借金)を無事に免責できるよう手続きを進めてくれます。

弁護士に相談する

社長や役員が会社の倒産・破産時に損害賠償責任を負ってしまう場合

社長や役員が会社の倒産・破産時に損害賠償責任を負ってしまう場合

 ここまで、基本的に会社を倒産・破産させてしまっても、社長や役員が個人的に責任・債務を負う場合は限られていることや、会社の資金繰りが上手くいかずに倒産・破産させてしまうことに対して損害賠償責任を問われることは無いと解説してきました。

しかし、一部の場合では、会社を倒産・破産させることで社長や役員が損害賠償責任を負うことになってしまうのも事実です。

ここでは、どのような場合に社長や役員が損害賠償責任を負うことになってしまうのか、解説してきます。

善管注意義務違反や忠実義務違反があった場合は損害賠償責任が問われる

 まず、会社の倒産・破産時に社長や役員が損害賠償責任を問われるケースとして、「善管注意義務違反」や「忠実義務違反」があった場合です。

「善管注意義務」や「忠実義務」とは、社長や経営者は会社の代表として必要な業務である、会社を管理し、経営するという職務を責任を持って行う必要があるということです。そのため、全ての会社の社長や役員は会社に対してこの「善管注意義務」や「忠実義務」を負っています。

しかし、会社を倒産・破産させると・・・社長や役員は損害賠償責任を負うことになる?でも解説している通り、通常会社の経営・資金繰り状態が悪化してしまい、会社を倒産・破産させることになってしまう場合では、社長や役員が損害賠償責任を負うことはありません。 これは、資金繰りが悪化してしまいどうしようもない場合に会社を倒産・破産させることは仕方がなく、これは「善管注意義務違反」や「忠実義務違反」にはならないということです。

そのため、会社のお金を個人の私腹を肥やすために著しく使用していたり、経営状態を把握する調査を長期に渡って行なっていないなどのよっぽどの場合で無ければ、「善管注意義務違反」として経営者が損害賠償責任を負うことはありません。

支払いや返済、納品の見込みがない中で不当に取引先と受発注すると、社長が損害賠償責任を負うことも

 他にも、会社の倒産・破産時に社長や役員が損害賠償責任を問われるケースとして、「会社が倒産直前の納品ができ無い状態で取引先から新たな受注をし、納品せずにお金だけもらい倒産・破産手続き費用に充ててしまう」ことや「支払いができないと分かっていながら発注し、支払いをせずに受け取った商品を換金し、別の借金返済に充ててしまう」というものがあります。

会社の倒産・破産・民事再生手続きを行うのに必要な費用は、決して安くはありません。そのため、資金繰りが苦しかったり、取り立てへの対応に切羽詰まっているとどうにか倒産・破産手続きの費用を確保しようと納品ができ無いと知りながら取引先から新たな案件を受注したりすることは珍しく無いのです。

しかし、この行為を社長や役員が知っていながら行なっていると一発アウトです。やめた方が良いでしょう。債権者である取引先側の会社から社長・役員個人に対して損害賠償責任を問われてしまう可能性が出てきます。

もしあなたの会社の資金繰りが既に苦しく、倒産や破産を考えながらもどうにか資金繰りの改善に向けて新たな受発注を行いたい場合は、事前に弁護士に相談することをお勧めします。 倒産・破産に詳しい弁護士に相談することで、その会社の状況で取引を行うことが問題無いのかや、場合によっては今すぐに倒産・破産手続きを始めるべきかなど、法的視点からアドバイスをもらい、その時に必要な行動を正確に把握することができます。

また、取り立てや督促が厳しい場合でも、弁護士に依頼することで代理人として全ての取り立てに対応してくれるため、あなたはそれ以降対応する必要が無くなります。

経営リスクバスターズで協力している弁護士は無料で相談を受け付けてくれるため、まずは一度相談してみて下さい。

会社の倒産・破産時に生じる損害賠償責任や債務の整理について、まずは弁護士に相談!

いかがでしたでしょうか。

ここまで、会社が倒産・破産してしまう場合に、社長や役員に対して発生する損害賠償責任の有無やその状況について解説してきました。

会社を倒産・破産させると・・・社長や役員は損害賠償責任を負うことになる?で解説している通り、通常は会社を倒産・破産させたとしても社長や役員個人が損害賠償責任を負うことはありません。 しかし、倒産・破産手続き上の違反行為を行うことで損害賠償責任を問われるリスクがあることがお分かりいただけたかと思います。

実際に会社の倒産・破産前に完了する見込みが無い状態で取引を行なってしまったりすることで損害賠償責任を負ってしまい、社長個人として支払うべき債務(借金)が拡大したり、最悪の場合、自己破産手続きを経ても免責できない(借金をリセットできない)ことにもなりかねません。

会社の倒産・破産手続きは複雑なだけでは無く、時間や費用がかかるのも事実です。

だからこそ、会社の資金繰りが悪化してしまった段階で一度弁護士に相談し、必要な対応や、会社を倒産・破産する場合に「やるべきこと」や「やるべきでは無いこと」を早い段階で明確にすることは無事に借金をリセットするためにも非常に重要です。

法律知識の無い経営者個人で対応を進めていると、不当な行為をしてしまい、いざ手続きを行う段階で損害賠償責任を問われたり、借金をリセットできなくなってしまう恐れもあります。

まずは、倒産・破産に詳しい弁護士に相談し、みなさんが適切な行動を理解した上で問題を無事解決できることを祈っています!

※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。

※本サイトでは一般の読者にとっての分かり易さを優先し、法律上の厳密な意味と一部異なる用語が存在しています。ご了承ください。

経営リスクバスターズでは、会社の倒産・破産を専門とする弁護士と協力し、経営者を守るプロの知識を発信しています。

  • 資金繰りが悪く、債権者からの取り立てに悩んでいる
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これらの悩みを持つ方は、まずは弁護士に相談してみましょう!