差押えリスク回避!会社倒産・破産危機での債務や借金返済の優先順位とは?

更新日: September 7, 2020 3:00 AM

銀行・取引先などの債権者対応

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Q 経営者からの質問

この度、初めて相談させていただきます。実はこれまで長年発注をもらっていた取引先から、今後は別の会社に発注することになったと連絡をもらいました。弊社の売上の多くがこの取引先に依存していたため、急に資金繰りが悪くなってしまいました。
 取引先や銀行への支払いだけではなく、従業員の給与や役員報酬、税金の納付などどうにか支払いを待ってもらい事業の立て直しまでの時間を稼ぎたいのですが、支払いを滞納するだけですぐに資産や財産を差し押さえられてしまったりするのでしょうか。設備や在庫を差し押さえられると事業を続けられなくなってしまいます。どうにか事業を継続するためにも、今後の支払いをどのように管理していけば良いのか、アドバイスをいただきたいです。

A 弁護士からの回答

資金繰りがピンチの際に知っておくべき情報は、「資金繰りが悪くても、すぐに支払わないと差し押さえのリスクが高くなる支払先はどこか?」です。この記事では、会社の支払いに関する優先順位について説明しているので確認してみて下さい。
 また、差し押さえのリスクを回避できても資金繰りの改善ができないようであれば、早めに倒産や破産に向けた準備も初めておくと良いでしょう。事業継続に受けて動く場合とでは対応も大きく異なるため、ご自身の会社の状況を踏まえた上で、早めに弁護士に相談してみる事もお勧めします。

資金繰りの悪化でお金が足りない・・・事業継続へ差し押さえリスクを回避するために支払うべき債務の優先順位

資金繰りの悪化でお金が足りない・・・事業継続へ差し押さえリスクを回避するために支払うべき債務の優先順位

もしあなたの会社の資金繰りが悪く、経営者として銀行への返済や取引先への支払いなど多くの債務の中で何を優先して支払うべきか悩んでいるのであれば、この記事で支払うべき債務の優先順位を確認し、今すぐに事業を継続するために必要な支払いの計画を立てて下さい。

特に、資金繰りが悪い中で闇雲に支払いを続けていると、会社の存続に必要な従業員がいなくなってしまったり、突然会社や経営者の財産を差し押さえられてしまうリスクがある事も事実です。 まずは以下で経営者が知っておくべき債務返済の優先順位や、支払いを待ってもらう方法について解説しているので読んでみて下さい。

優先度1. 従業員の給与|会社の資金繰りが悪くても事業継続のため社員の賃金は優先して支払う

まず結論から言いましょう。もし、会社の資金繰りが悪化している中でも、どうにか会社の立て直しに向けて動くのであれば、まずは従業員の給与を優先して支払うことをお勧めします。

会社の事業を継続していくためには、当然従業員が必要です。しかし、他の銀行や取引先とは異なり、従業員の立場では会社から貰う給与によって生活を成り立たせている事がほとんどなので、給与の未払いが続く事で退職されてしまうリスクは非常に高いでしょう。そのため、従業員が辞めてしまい事業の継続や復活に向けて事業を運営する人がいなくなってしまうという事態にも陥りかねません。

だからこそ、どうにか事業の継続に向けて動く場合は、従業員の給与は優先して支払いを行なって下さい。

一方で、それでも事業が回復せずに資金繰りがさらに苦しくなってしまい、会社を倒産させなければいけない事もあるかもしれません。そのような時は、会社を倒産・破産させる際に、経営者が取るべき従業員への対応を確認してみて下さい。実際に、会社の倒産手続きを適切に行う事で、国が一定期間分の未払いだった給与を従業員に立替てくれる制度や、従業員への賃金を滞納した場合のリスクについて詳しく解説しています。

優先度2. 税金の納付|差し押さえ回避のためにも、消費税や法人税、社会保険料は滞納しない

資金繰りに困った時でも、優先するべき支払いは国への税金や社会保険料の納付です。なぜなら、税金や社会保険料の支払いは会社の非常に重要な義務だと考えられており、滞納が数ヶ月続くとすぐに財産や資産を差し押さえられてしまうことがあるからです。

実は、国は他の銀行や取引先などの一般の債権者とは異なり強い債権回収能力を持っています。そのため、差し押さえの早さが普通の企業や銀行と比べて非常に速いのです。

税金は支払う相手の顔が見えないので、資金繰りが悪い時にはついつい滞納してしまいがちですが、税金や社会保険料は差し押さえのリスクを回避するためにも最優先で支払うことを強くお勧めします。

優先度3. 取引先への支払い

事業を継続し、会社の回復を目指していく上では、取引先への支払いこそ滞納せずに行い、信頼を無くさずに事業を継続する事は重要です。

しかし、支払を滞納した時のリスクを考えると、取引先への支払いの優先度は従業員給与や税金に比べると高くありません。 実は、一般企業が差押えなどの手続きを行うのには、通常1年程度の時間がかかるのです。なので、取引先への支払いが遅れたからと言って、すぐに会社や経営者個人の財産が差し押さえに合うリスクは低いのです。

また、これまで長年お付き合いのある取引先だからこそ、会社の資金繰りが悪いことを早めの段階で相談に行き、期限を遅れてでも支払いができる目処があればその旨を伝えることで分かってもらえる事も多いでしょう。

会社の資金繰りが悪化してしまった際の取引先への対応についても、詳しくは別の記事で解説しているので確認してみて下さい。

優先度4. 銀行への返済|支払いのリスケ交渉ができれば返済を待ってもらう事もできる

優先度の最後が、銀行への融資返済などの支払いです。 もちろん、資金繰りが悪化していても銀行への返済を滞納して良いわけではありません。しかし、銀行への支払いが難しい場合、銀行に対して支払い期日を遅らせるリスケジュール交渉をすることで、支払いを待ってもらえることは珍しくありません。

特に、会社の資金繰りの悪化が一時的なもので、期日を遅らせたり支払いの返済額を減らす事で返済が可能であると証明する事ができれば比較的容易に交渉する事が可能です。

一方で、もし仮に資金繰り改善の目処が立たず、将来的にも銀行への借金の完済が難しいのであれば注意が必要です。銀行には、会社や連帯保証人である経営者自身の預金口座があるため、融資した金額の回収が難しいと判断すると、直ぐに銀行口座を凍結してくる恐れがあるのです。

資金繰りが悪い状態で会社の口座が凍結されてしまうと、更に急激に資金繰りが悪化し、従業員の給与や税金、取引先への支払いなどが一気に滞ってしまいかなり悲惨な状況になってしまいます。また、それだけではなく、会社を破産させようとしても破産するのに必要な手続き費用を賄えない事にも繋がりかねません。

銀行への融資返済は優先度は低いのですが、もし将来的にも銀行融資の完済が難しいほど資金繰りに苦しんでいるのであれば、まずは会社の倒産や破産も視野に入れた行動を開始した方が良いでしょう。

資金繰りが悪くなった時に、どの支払を優先させるかでその会社や経営者の将来が決まると言っても過言ではありません。企業を存続させるにしても、傷口が拡がらないうちに会社を倒産させるにしても、ぜひ一度、会社の資金繰りや倒産に精通した弁護士に詳しく相談すると良いでしょう。

会社の資金繰りが悪く、返済が間に合わない時に経営者が取るべき銀行への対応については詳しくは別記事の解説を確認してみて下さい。

支払いの滞納が続くと会社はどうなる?債務不履行で督促や取り立て、財産差し押さえが来る?その影響は?

支払いの滞納が続くと会社はどうなる?債務不履行で督促や取り立て、財産差し押さえが来る?その影響は?

当たり前ですが、会社の資金繰りが改善せず債権者への支払いを滞納させてしまうと、債権者側も貸し倒れを防ぐために様々な措置をとって資金を回収しようとしてきます。 そこで支払いの滞納が続く事で会社にどのような影響が生じてくるのかを解説していきます。

税金(国税・地方税)の滞納は要注意!債務によって異なる差し押さえのリスク

支払いを滞納してしまった際に最も恐るべきリスクは財産の差し押さえです。銀行口座にあるはずのお金が使えなくなれば、事業の継続はかなり難しくなるでしょう。会社の資金繰りが悪く、銀行や取引先への支払いや税金の納付を滞納する事で差し押さえのリスクが生じてきます。

差押えリスクが最も高くなるのは、税金の滞納です。 滞納した税金の取り立ては非常に厳しく行われます。国は、税金の滞納に対して厳しい姿勢を取る上に強力な取り立ての権限を持っているので、滞納してから早ければ2ヶ月程で差し押さえ処分にあう恐れがあるのです。十分な注意が必要です。

もちろん、突然差し押さえ処分がされるわけではなく、実際に差し押さえが執行されるまでの間に、会社に督促状が届いたり電話による支払い催促がくる事になります。そのため、たとえ税金を滞納してしまったとしても、差し押さえが行われる前に、税金だけはなんとか支払うことを強くお勧めします。

支払いを滞納してから取り立てや督促を経て会社の財産が差し押さえされるまでの流れについては別の記事で詳しく解説しているため、確認して見てください。

「仮差し押さえ」によって、銀行口座や会社の財産が凍結されてしまう恐れ

税金の支払いのみを滞納せずに行っていれば、差し押さえのリスクは低く安心かというとそんなこともありません。銀行や取引先などの通常の債権者は「仮差し押さえ」という手段で滞納分の支払いを回収することができます。

この仮差し押さえとは、滞納が続いている会社の財産がこれ以上減らないように銀行口座を一時的に凍結するための仕組みです。この仮差し押さえを行うには、裁判所からの許可が必要なものの、早ければ1週間程度で手続きの許可を貰い、実行することができます。

これを防ぐには、弁護士を雇って滞納先と交渉を開始するしかありません。そうすれば、仮差押えのリスクは大きく減少します。

既に銀行や取引先への滞納が続いてしまっているようであれば、まずは弁護士に相談し、債権者へのリスケ交渉をしつつ会社の財産が仮差し押さえなどによって凍結されないよう直ぐに対策を考えて下さい。

また、仮に会社が倒産・破産した場合でも経営者自身の財産を可能な限り守る方法や、家族や子供への影響を最小限に留める方法も早い段階で弁護士に相談する事で対策を取れる可能性があります。 まずは、どんなに資金繰りが悪くなってしまっても諦めずに、専門家に相談し行動を開始してみて下さい。

支払いを滞納すると連帯保証人にも催促の連絡が行き、一括請求されてしまう

会社への直接的な影響では無いにしろ、銀行との融資契約に連帯保証人がついている場合は、支払いが滞納された時点で直ぐに連帯保証人にも支払いの催促の連絡が行ってしまいます。

また、連帯保証人はこの時、これまで滞納されていた支払い分を一括請求されてしまうことになるため、あなたの会社が支払いができなければ、連帯保証人が一気に自己破産に突き進むことになってしまう事も覚えておきましょう。

これを防ぐのも、弁護士です。弁護士を雇って銀行との話し合いを開始すれば、すぐに連帯保証人に迷惑がかかるようなことにはなりません。 また、弁護士が交渉をする事で、連帯保証人を契約から外す事が出来る場合もあります。もし、今後支払いが滞ってしまいそうな債務に連帯保証人が含まれている場合は、諦めずにまずは会社の資金繰りが厳しくなった時に連帯保証人に迷惑をかけないために経営者ができる対応について確認し行動してみてください。

抵当権で担保されている財産や不動産は直ぐに差し押さえられ競売にかけられてしまう

また、銀行から融資を受ける際など、会社の不動産などの財産を担保に入れ抵当権に設定されている場合があります。 このような場合、銀行への返済を滞納し支払いの催促が来ても滞納を続けていると抵当権を行使され担保にしている財産を没収されることになります。

通常の差し押さえなどの強制執行手続きを行うには、裁判所の許可をもらう必要があり、手続きに1年近くの時間が必要となります。しかし、仮に不動産が抵当に設定されている場合、裁判所の手続きをせずに支払いの滞納が始まった時点で、銀行などの債権者は担保にしている不動産を差し押さえることが可能です。

しかし、債権者側も抵当権に設定している不動産を差し押さえるには一定の費用がかかることも事実です。そのため、一般的には支払いを滞納するとすぐに抵当権を行使されることは無く、数ヶ月程度滞納が続くと行使される恐れがあります。

会社の資金繰りが悪化した際に、経営者が取るべき銀行への対応でも解説している通り、弁護士を雇い早めに動くことで銀行への支払い期日を遅らせるリスケ交渉が可能な場合があります。 弁護士を雇いリスケ交渉をしたり、少しでも返済する誠意を見せることで、抵当権の行使自体は多少遅らせることができるでしょう。

また、資金繰り悪化時に差し押さえを回避するために支払うべき債務の優先順位では、一般的な支払いの優先順位を解説していますが、抵当に入れられている財産がある場合など、それぞれの会社によって状況が異なるのも事実です。

まずは、債務の状況や正確な差し押さえリスクを確認するためにも、弁護士に相談してみると良いでしょう。

差押禁止債権・財産として強制執行時に差し押さえされない財産や債権も存在する!

また、差押禁止財産として、差し押さえの対象にならない財産や債権(給与債権や、預金債権)というのも存在しています。

しかし、ここでまず理解しておくべきことは、これは会社などの法人では無く、個人に適用されるルールだと言うことです。そのため、会社が実際に税金や取引先への支払いを滞納してしまい、差し押さえされることになってしまう場合、会社の財産には差押禁止財産は無く、基本的に全ての財産や債権を差し押さえられることになります。

一方で、連帯保証人などで経営者やそのご家族が会社の債務を負うことになってしまう場合、給与の4分の3や、仏壇などは差押禁止債権・財産として、手元に残すことが可能です。

もし個人として会社の借金を負うことになってしまい、差し押さえを受けるリスクがあるのであれば、まずは弁護士に相談しどのような財産を差し押さえられるリスクがあり、破産手続きをする事でどの程度自身に財産を残すことが可能なのか相談してみましょう。

特に、連帯保証人などで会社の債務を引き継がなくては行けないことが分かっている場合、早めに弁護士に相談する事で経営者自身やご家族の財産を最大限残すことができるでしょう。 以下の記事では、会社の倒産・破産時に経営者自身やご家族の財産を守るために経営者が出来ることについて解説しているため、確認してみて下さい。

会社の倒産・破産時に経営者自身の財産・資産を最大限残すために出来ること 会社の倒産・破産時に経営者の家族・子供を守るために経営者が取るべき対応

会社の倒産・破産で借金を帳消しにすることを決めたなら、支払いの優先順位返済の必要性は変化する

会社の倒産・破産で借金を帳消しにすることを決めたなら、支払いの優先順位返済の必要性は変化する

銀行や取引先へのリスケ交渉を行い返済期日を遅らせてもらったものの、どうしても経営状況が好転せずに会社の倒産や破産に向けて手続きを進めたい場合、これまでに説明してきた債権者への対応や優先順位が大きく変わるため注意が必要です。

もし、会社の倒産手続きに向けて動く中で、銀行・取引先・従業員などの債権者に対する接し方を誤ってしまうと、最悪の場合、倒産手続き自体を行えず、借金を抱え続けることになる恐れがあります。

まずは、ここで解説している対応を確認した上で、倒産・破産に向けて動くのであればすぐに弁護士に相談し行動を開始することをお勧めします。

倒産を決めたら全ての債権者への返済や支払いを停止!会社の倒産・破産手続き費用の確保が最優先

まず、会社の倒産や破産手続きに向けて動く場合、経営者は手続きを行うのに必要な費用を確保する事が最も重要です。

倒産間近の会社では、既に資金繰りが悪く会社に残っている資金自体が少ないことが大半です。しかし、資金が完全に無くなり倒産の手続き費用を用意できなくなってしまうと、倒産自体を行うことができず、今後もずっと借金に追われ続けることになってしまいます。

そうならないためにも、会社の倒産や破産に向けて準備を始める時は、一度全ての債権者への支払いを思い切って停止し、手続きに向けて費用が十分に確保できるのか今直ぐに確認する事をお勧めします。

弁護士を雇い受任通知を送ろう!倒産・破産手続き前の財産の差し押さえリスクを回避せよ

会社の倒産や破産に向けて手続きを進めるのであれば、弁護士を雇いすぐに債権者に対して弁護士の受任通知を送り、財産差し押さえのリスク回避を行いましょう。

資金繰りが悪く倒産間近の会社では、会社に資金がほとんどないため、会社に残っている財産を換金して倒産・破産手続き費用に充てることも珍しくはありません。 そのため、仮に会社の財産や経営者自身の財産を差し押さえられないようにすることが非常に重要になってきます。

また、差し押さえや仮差し押さえだけが財産を奪われてしまうリスクではありません。実はこれらの法的処分とは別に、一般の取引先などの債権者が裁判所の許可も無く、あなたの会社の財産を勝手に奪いに来てしまうこともあるのです。

特に取引先はあなたの会社への売掛金を回収できない事で彼ら自身の経営状態が悪化してしまうことがあるため、必至になります。あなたの会社が倒産しそうだと分かった時点で、このような強行的な手段にでることも珍しくはありません。 もちろん、いくら滞納が続いているとはいえ勝手にあなたの会社の財産を持っていってしまうことは違法行為です。しかし、取引先の会社にも債権回収目的で弁護士が付いている場合もあり、そうなるとどうにか違法にはならない方法で強引に債権回収を行ってくる恐れもあります。

このように法律すれすれであなたやあなたの会社の資産を奪おうとする相手に対抗するためにも、会社を倒産・破産させると決めた時点ですぐに弁護士を雇い、財産保全に向けた対策を行なって下さい。そうすれば、会社に押しかけられたり、強引に資金回収をされることはありません。

資金繰りがどうしても改善しそうになく会社の倒産を考えているのであれば、無事に手続きを成功させ債務を清算するためにも、まずは弁護士に相談してみましょう。

役員貸付や未払い分の役員報酬は倒産手続きを開始したら戻ってこない!だからこそ資金繰り悪化時でも毎月の支払いは行うべき

会社の資金繰りが悪いと、経営者はどうにか事業資金を確保しようと自身の報酬を受け取らずに未払いの状態にしたり、自分個人のお金を会社に貸して(役員貸付)どうにかピンチをしのごうとすることがあります。

しかし、この未払い分の役員報酬や役員貸付は、会社の倒産・破産手続きを開始してしまうと、他の債権と同等に扱われることになり、ほとんど受け取る事ができなくなります。

また、破産手続きでは、破産法という法律に基づき、全ての債権者を平等に扱わなければならないと定めています。そのため、手続きを開始する直前であわてて役員貸付や未払い分の報酬をまとめて経営者自身に支払うことも違法になり、最悪の場合、倒産による債務の免責(帳消し)が認められないことすらあるのです。

だからこそ、どんなに資金繰りが悪化しても基本的には役員報酬は未払いにせず、毎月支払いをしてご自身の財産確保として受け取っておくことを強くお勧めします。

会社が倒産しても経営者にも資産は残る?会社破産手続き後の財産の配当方法や債務弁済の優先順位

会社が倒産しても経営者にも資産は残る?会社破産手続き後の財産の配当方法や債務弁済の優先順位

会社を倒産・破産する事で、会社が持っている財産を全て清算して現金化し、それを債権者に分配することになります。ここでは、会社の破産手続きの中で、清算された財産がどのように債権者に分配されることになるのか解説していきます。

経営者が連帯保証人の場合財産はほとんど残せない。会社倒産・破産に併せて経営者が自己破産の場合も・・・

まず、会社を破産させるにあたって、良くあるケースとして、経営者が銀行融資の連帯保証人になっていることがあります。その場合、倒産するとなったら連帯保証人である経営者自身に債務が回って来ることになります。そうすると経営者は銀行に対して一括で融資額を返済する必要がありますが、ほとんどの場合、支払うことはできないでしょう。そのため、こうなると残念ですが経営者自身も自己破産をして、借金を背負わないようにする必要があります。

では経営者が自己破産をすると、経営者の資産や財産はどうなるのでしょうか。 これも残念ですが、自己破産をすると生活に必要な最低限の財産しか残す事が許されないため、経営者はほとんど自身の財産を残す事ができないと考えておいた方が良いでしょう。

もし経営者が連帯保証人でないとしても、会社の倒産・破産手続き後に役員報酬の未払いや役員貸付は回収できないで解説している通り、経営者や経営者の家族が会社に対して貸付ているお金を回収する事は非常に難しくなります。

また、自宅や車が会社名義で購入しているものなのであれば、その財産は会社の破産と共に清算されることになります。

そうなると経営者のご家族やお子さんの生活に大きな影響が出てしまいます。家族の生活を守るために、事前に会社が倒産・破産危機の時、経営者自身の財産を最大限残すためにできる事や、会社の倒産や破産に向けて経営者が家族や子供を守るためにするべき対応についても確認し、対策を取る事が可能なのか専門の弁護士に相談してみて下さい。

債権者平等の原則!会社破産手続きでは基本的に全ての債務は平等に清算される

会社の破産手続きを開始すると、その会社が持っている財産は全て債権者のものとなり、現金化されて全ての債権者に『平等に』分配されることになります。【債権者平等の原則】といいます。

実は経営者にとって、この債権者平等の原則は少し注意が必要です。

たまにあるケースなのですが、経営者が自分自身やご家族に財産を少しでも残すために、倒産直前に会社のお金や財産を横流してしまう事があります。しかしこれは、本来債権者に平等に分配されるはずの財産を不当に経営者自身やご家族に配当したとして違法行為になります(偏頗弁済といいます)。 もし不当な財産流しだと認められてしまうと、最悪の場合、破産手続きを経ても債務を免責できず借金を背負い続けなければならなくなったり、横流しした財産をすぐに会社に戻さ無ければいけなくなってしまいます。

少しでも家族に財産を残したいという気持ちはわかるのですが、その結果として、更なるピンチを招いてしまいます。やめましょう。

また、債権の中でも他の債権より優先して支払われるべきものは法的に決められているので、詳しくは以下で確認してみて下さい。

抵当権や担保権を設定されている財産は優先的に清算される【別除権】

銀行からの融資を受ける際などに、不動産に抵当権を設定されたり、財産に担保権が設定されることがあります。そして、抵当や担保を持っている債権者は、破産手続きの開始を待たずにこの権利を行使して債権回収をすることができます。(別除権といいます)

そのため、銀行の融資に合わせて抵当や担保を設定されている場合、その財産は他の財産とは別に扱う必要位があります。

税金(租税債権)や従業員の給与(労働債権)は優先して弁済される【財団債権】

他にも優先して弁済される債権として、未納分の税金や従業員への給与(労働債権)があります(財団債権といいます)

厳密には、滞納した全ての税金や未払い給与が含まれるわけではありませんが、過去1年以内に納期が来ている未納分の税金など、一定期間以内で支払いが滞っている場合は財団債権として扱われ、債権の中でも優先して弁済を受けることになります。

また、財団債権にはその他にも実際に裁判所に支払う倒産・破産の手続き費用や、破産手続きを行う破産管財人と呼ばれる弁護士に支払う報酬なども含まれています。

弁済率は0に近い!銀行や取引先への滞納分は配当が限りなく少ない【破産債権】

最後に、財団債権や別除権によって清算された債権を除く全ての債権が、破産債権として債権者に平等に配当されることになります。

通常、資金繰りが悪化し会社に資金がほとんどない中で倒産・破産手続きを行う事が多いため、上で解説している未納分の税金や、従業員への未払い給与を支払ってしまうと、この破産債権まで配当が回ってくる事はあまり多くはありません。つまり、銀行や取引先への支払いの滞納などにあてられるお金は、ほとんど残っていないケースが多いのです。

そのため、会社の倒産・破産手続きに向けて経営者が支払うべき債務の優先順位でも解説している通り、取引先などは破産手続きを行われてしまうと債権をほとんど回収できなくなってしまいます。

取引先などの一般企業は、これを知っているため、手続きを開始される前に強行的に財産を奪いに来る事があるのです。

会社の状況に応じた債務返済の優先順位はまずは弁護士に相談!

いかがでしたでしょうか。 これまで、会社の状況に合わせて、支払うべき債務の優先順位について解説してきました。

経営者の方は特に、どうにか事業を回復させ資金繰りを改善できないかと最後まで試行錯誤される事も多いため、まずは会社の資金繰りが悪い中で支払うべき債務の優先順位を確認し直ぐに支払い期日のリスケ交渉など行動を開始、事業存続に向けて動き出して下さい。

また、会社の資金繰りが悪くなってしまい滞納が続いてしまうと、様々な債権者から取り立てや財産を差し押さえられるリスクが増すことになります。 そのため、会社の状況から差し押さえのリスクを把握したり、倒産・破産手続きに向けて必要な財産が残っているか確認するためにもまずは早い段階で会社の倒産・破産に精通した弁護士に相談することを強くお勧めします。

他にも、比較的早い段階で弁護士に相談することで、会社が破産してしまった場合に家族や連帯保証人への影響を最小限にできたり、従業員との余計なトラブルを事前に防ぐことにも繋がります。

会社の倒産・破産に向けて経営者が家族を守るためにできること 会社の倒産・破産において、連帯保証人に迷惑をかけないために経営者がやるべき事 会社の倒産・破産が従業員に与える影響|経営者がするべき社員への対応

会社を経営していると資金繰りが苦しく、支払いに困る事もあるかと思います。 まずは、みなさんが会社の状況に応じた債務の優先順位について理解し、事業の復活や債務の免責に向けて適切な対応ができることを祈っています!

※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。

※本サイトでは一般の読者にとっての分かり易さを優先し、法律上の厳密な意味と一部異なる用語が存在しています。ご了承ください。

経営リスクバスターズでは、会社の倒産・破産を専門とする弁護士と協力し、経営者を守るプロの知識を発信しています。

  • 資金繰りが悪く、債権者からの取り立てに悩んでいる
  • 既に支払いの滞納が続いており、いつ差し押さえに合うのか不安
  • 会社を倒産させても、家族や従業員への影響は最小限に抑えたい
  • 会社が破産すると経営者の生活はどうなるのか分からない

これらの悩みを持つ方は、まずは弁護士に相談してみましょう!