会社の資金繰り悪化で取引先に支払いができない!倒産・破産危機での適切な取引先への対応とは

更新日: September 7, 2020 3:00 AM

銀行・取引先などの債権者対応

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Q 経営者からの質問

 売上が急減してしまい、資金がかなり減ってしまっています。銀行への借金はないのですが、いつも仕入をしている取引先への買掛金の支払が来月あり、税金や社会保険料や家賃を支払うと取引先への支払がかなり厳しくなりそうです。
 もし取引先への支払を滞納すると、差押えや取り立てなどが来るのでしょうか?また、取引先への支払を滞納すると仕入ができなくて倒産するしかなくなります。家賃や税金を滞納してでも、取引先への支払を優先した方が良いでしょうか?

A 弁護士からの回答

 対応方法は、あなたの会社の資金繰りの状況によって変わってきます。状況にあった対応を進めていきましょう。
 今の資金繰りの悪化は一時的なもので今後すぐに回復する見込みがあれば取引先と交渉して支払を待ってもらうべきでしょう。しかし、今後すぐには資金繰りが改善しないようなら借金を増やさないためにもご自分や家族の資産を守るためにも、会社を倒産させる選択肢も考えるべきです。
 まずは、それぞれの状況に合わせて経営者が取るべき対応についてまとめたので、ぜひ読んでみて下さい。

取引先への支払いが間に合わない・・・経営者が会社の資金繰り状況に応じてするべき判断と取引先への対応

取引先への支払いが間に合わない・・・経営者が会社の資金繰り状況に応じてするべき判断と取引先への対応

会社の資金繰りが悪化すると、経営者としては毎月の様々な支払に頭を悩ませることになります。特に取引先は、今後も事業をどうにか継続するために必要な存在なので、支払ができずに信用を失うと会社の倒産に直結しかねません。 もし現在、既にあなたの会社が取引先への支払いができずに悩んでいるのであれば、まずは以下の解説を見て、あなたの会社の資金繰りや経営状況に合わせて適切な対応を進めて下さい。

資金繰りの見通しによっては、会社を倒産させるのが経営者にとってベストな選択肢となる場合もあります。もし倒産する場合には、なるべく早い段階から弁護士に相談するのが非常に重要なので、少しでも資金繰りが厳しくなっているなら、ぜひこの記事を読んで動き始める事を強くお勧めします。

会社の資金繰りや経営状況から判断する、経営者が取るべき取引先への対応とは

ここでは、会社の資金繰りや経営状態に合わせて3つのケースでの対応を解説しています。 まずは自分の会社の状況と照らし合わせた上で、以下の3つを参考に、会社の支払い能力に応じた適切な対応を進めて下さい。

①資金繰りが一時的に悪化しているだけの場合 例えば、資金繰り悪化の原因が売掛金の入金遅れなどによるものであれば、売掛金さえ回収できれば資金繰りは改善します。そういった場合は、まずは取引先に正直に状況を話し、支払いを遅らせる交渉をしてみましょう。 実際に取引先への交渉内容や、少しの支払いの遅れで差し押さえなどの強制執行のリスクがあるのか、期日を遅らせれば支払える場合|まずは取引先に直接リスケの交渉を!にて解説しているので、確認してみて下さい。

②資金繰りは慢性的に悪いが少しずつなら支払ができる場合 次に、資金繰りがすぐには良くならないものの、少しずつであればお金を支払うことができる状況の場合です。つまり、多少なりとも毎月利益が出ている状態です。

この場合は、取引先にまずは一括で支払うことができないことを誠実に謝罪し、その上で支払を分割にしてもらう交渉を行うべきでしょう。

ただし、運よく交渉が成功して分割払いにしてもらえたとしても、少なくとも全ての金額を払い終わるまでは、その取引先から仕入を行うことはまずできません。そうなってしまうと事業を続けられないのであれば、傷口を広げないように倒産の選択肢を選ぶ必要があります。

③取引先への支払を完済できる見込みがない場合 最後に、資金繰りが短期的に改善する見込みもなく、取引先への支払を分割払いでも支払うことができない場合です。毎月赤字でお金が減っているような状況で、経費の節約などでは黒字に出来ないようなケースがこれにあたります。

この場合は、経営者として会社の倒産や破産を本格的に検討する必要があります。

倒産や破産というととても悪いイメージがあると思いますが、最も悪いのは、何のメドもないのに毎月赤字を拡大させて更に多くの取引先や従業員に迷惑をかけることです。そうなると経営者や家族の資産も危うくなります。 倒産を選べば、それ以上傷口が大きくなることはなくなりますし、取引先への迷惑も最小限に抑えられる可能性もあります。早くから倒産に向けて動けば、経営者やご家族の今後の生活も守ることができます。

もし倒産を選択する場合には、取引先に対してのコミュニケーションや倒産に向けた動き方に注意を払う必要がありますので、資金繰りの改善見込みが無い時、取引先に対して経営者が取るべき3つの対応で更に詳細を確認してみて下さい。

また、実際に会社の倒産に向けて手続きを進める際に経営者が取るべき対応や、実際に倒産した場合の債権者である取引先に対して与える影響については会社の倒産や破産の手続きを進める時、経営者が注意するべき2つのポイント以降で解説しています。

ぜひあなたの会社の資金繰り状況に併せて、必要な対応について確認してみて下さい。

以下で更に詳細に説明をしていきます。

期日を遅らせれば支払えるなら、まずは取引先に直接支払い期日のリスケ交渉を!

期日を遅らせれば支払えるなら、まずは取引先に直接支払い期日のリスケ交渉を!

まずは取引先に会社の資金繰り状況を説明し、支払い期限を伸してもらうよう交渉する

もし、あなたの会社の資金繰りが悪化したとしても、その原因が一時的なもので、時期をずらす事で一括での支払いが可能な場合、まずは取引先に対して支払い期限を伸ばせるのか直接交渉する事をお勧めします。

確かに、取引先側からすると売掛金を回収できないことで大きな迷惑をこうむりますが、それでも近いうちに全てのお金を回収できるなら支払いの遅れを許してくれる事が多いのも事実です。

交渉を行う際には ・会社の資金繰りが一時的に悪化している理由 (売掛金の入金が遅れている など) ・会社の資金繰りが短期的に改善する理由 (売掛金は来月の15日には入ってくる など) ・支払を行える時期 (来月の15日、来月の月末 など) を真摯に伝えることが重要です。

差し押さえのリスクは?取引先への多少の支払いの遅れで、直ぐに取り立てや督促が届くことはあるのか

結論から言いましょう。取引先への支払いを一時的に滞納しても、会社の資産や財産を強制的に差し押さえられてしまうリスクは限りなく低いです。

通常、差し押さえなどの強制執行手続きを行うには、裁判所に許可を取る必要があります。しかし、一般の取引先がこの手続きを行うと、手続きに1年以上かかる事があります。普通はそこまで長い時間をかけて差押え手続きを行うことは非常に少ないのが実情です。

取引先への支払いを優先するのは要注意・・。税金や銀行への支払いを滞納すると差し押さえや仮差押に合うリスクも

一方で、一時的に会社の資金繰りが悪化し取引先への支払いが難しい場合でも、国への税金の納付と銀行からの借入の返済は他の支払いよりも優先して行って下さい。 国への税金の支払いは、会社の債務の中でも最も優先度が高く設定されています。そのため、少しでも支払いが遅れると直ぐに督促が届き財産の差し押さえに合う恐れがあります。 また、銀行への返済が滞ると、「仮差し押さえ」にあい、会社の銀行口座が突然凍結され、自由に利用できなくなる場合もあります。

会社の資金繰りに困った場合は会社の資金繰りが悪化した際に優先して支払うべき債務について事前に確認した上で、支払いを行う対象を判断する事をお勧めします。 また、銀行への返済も取引先への支払い同様に、支払いのリスケ交渉ができる場合が多いです。もし銀行への返済も難しい場合は、会社の資金繰りが悪化し時、経営者が取るべき銀行への適切な対応も併せて確認してみて下さい。

資金繰りの改善見込みが無い時、取引先への対応で経営者が抑えるべき3つのポイント

資金繰りの改善見込みが無い時、取引先への対応で経営者が抑えるべき4つのポイント

毎月赤字で黒字化の見込みがない場合や、突然経営状態が悪化し今後の支払いの見通しが立たない場合は、取引先に対して支払い期日のリスケ交渉を行っても効果は少ないでしょう。なぜなら支払を全て行える可能性が低いからです。逆に取引先に迷惑をかけることにもつながりかねません。

その場合は、勇気を持って「倒産」という選択肢を真剣に検討すべきです。

しかしいざ会社の倒産に向けて動く場合、債権者である取引先への対応を誤ると、倒産後も借金が帳消しにできないことや倒産の準備中に取引先に財産を奪われてしまい正式な手続きが行えないなど、様々なリスクが発生する恐れがあります。

会社にとって適切な対応を理解するためにも、まずは以下の解説を読んでみて下さい。

1. 会社の倒産や破産の手続きを進めるか、事業を継続するのか弁護士と相談し決定する

会社の資金繰りが悪化して改善の見込みがない時に、経営者が行うべき事は、会社を倒産させるのか、なんとか事業の継続に向けて動くのか決断をする事です。

会社を経営していると、従業員や自分の家族のためにもどうにか事業を回復させたいと思うのは自然な事です。しかし、会社の倒産や破産の手続きには一定の費用と時間がかかるため、判断が遅れると倒産するお金もなくなってしまい、倒産や破産すらできなくなる可能性があります。そうなると、従業員やご家族へより迷惑をかける事になってしまうこともあり、避けるべき事態です。

そして倒産を検討するなら、ぜひ倒産や破産に精通した弁護士に相談してみる事をお勧めします。

特に、専門の弁護士に相談する事で、倒産手続きの具体的な費用について把握できるだけで無く、会社の継続が可能なのか判断するのに必要な、会計士や事業再生コンサルタントなど、その他の専門家を紹介してもらう事もできるため、会社の状況にあった適切な対応を取る事ができるでしょう。

また、実際に倒産に向けて準備を進めていく場合、専門の弁護士に事前に相談する事で会社の倒産や破産時に経営者自身の財産を残し社会的な生活を取り戻していく方法も事前に理解しておくと良いでしょう。

2. 財産が奪われるかも・・?まずは会社と経営者自身の財産を守る事が最優先。取引先に資金繰りの悪化や会社が倒産しそうな事を悟られてはいけない!

実際に会社の資金繰りが悪く、会社の倒産を検討し始めた段階で、まずはあなたや会社自身の財産を守り抜く事を真剣に考えて下さい。

そのためには、どんなに支払いの滞納が続いてしまっても、会社が倒産しそうだという事は極力取引先などの債権者には悟られないようにする必要があるのです。その理由を説明します。

いざ会社を倒産する場合、債権者である取引先の元に滞納分の金額が全額支払われる事はまずありません。 しかしそれでは取引先は困ります。何とか全額回収できないかと考えるはずです。

そのため、もしもあなたの会社の資金繰りが悪く倒産しそうだという情報が取引先に伝わってしまうと、取引先がお金に変えることのできるあなたの会社の資産や在庫を回収しようと取り立てに来るリスクが生じます。

もしそんなことになれば大きな揉め事になりますし、倒産のための資金までも奪われてしまいかねません。このリスクを避けるためにも、会社の資金繰りが悪い事や倒産間近だという情報は、取引先などの債権者には悟られないようにするべきなのです。

取引先から差し押さえや仮差し押さえなどどのような流れで財産が奪われてしまうのかにて詳しく説明している通り、通常会社や個人の財産は法的に差し押さえられてしまう事が一般的ですが、それ以外の方法でも換金可能な財産は不当に奪われてしまうリスクがある事も理解しておきましょう。

取引先と長年の付き合いがあり深い関係を持っていると、経営者も「きっと取引先もわが社の苦労をわかってくれるだろう・助けてくれるだろう」と思い、自社の資金繰りの悪化を取引先に気軽に相談してしまうことがよくあるのも事実です。しかし、取引先側の会社もビジネスなので、買掛金は必死に回収してくることになります。「あの取引先は付き合いが長いから大丈夫だろう」という甘さが命取りになるケースがあることを心に刻んで、なるべく取引先には資金繰り悪化を悟られないようにしましょう。 一番良いのは、支払が滞る前に弁護士に相談し、取引先との交渉窓口を弁護士に任せてしまうことです。そうすれば取引先も、乱暴な方法で資産や財産を奪うような行動はできなくなります。だからこそ、弁護士に早く相談することが重要になるのです。

3. 夜逃げはデメリットだらけ!取引先の債務からの逃亡はやるべきではない!

会社の資金繰りが悪化し取引先や銀行への支払いを滞納し、なおかつ弁護士も立てていないと、取り立てや督促が経営者に直接届くことになります。経営者は連帯保証人として会社の債務を共に負うことも多いため、この自身に対する取り立てや督促への不安から夜逃げを考える事もあるかもしれません。

しかし、結論から言うと夜逃げは経営者自身にとっても、取引先にとっても、最もメリットの少ない行動であるためやるべきではないでしょう。

まず、夜逃げをすると、本来なら倒産や破産手続きによって帳消しにできていたはずの債務・借金の取り立てに長年苦しむ事になります。そのため、常に自身の財産が差し押さえに合うリスクに晒される事になってしまいます。

また、たとえ夜逃げに成功しても、新しい生活拠点に住民票を移す事もできません。そのため、もしあなたにお子さんがいる場合は新しい学校へ転校させる事もできなくなってしまいます。

夜逃げのリスクについては別の記事でまとめているので、まずは経営者が倒産や破産をせずに夜逃げをすることでその後の生活にはどのような影響を及ぼすのか、詳しく確認してみて下さい。

また、会社を倒産させる事による取引先へのメリットにて詳しく解説している通り、夜逃げをすると取引先でも貸し倒れ金を費用計上できないなど、取引先にも追加で迷惑をかけてしまう事になります。

経営者自身の今後の生活や、これまでお世話になってきた取引先への影響を最小限にするためにも、どんなに資金繰りが悪くなっても夜逃げはするべきではありません。

取引先への支払い滞納のリスク、取り立てや財産を差し押さえられるまでの流れとは

取引先への支払い滞納のリスク、取り立てや財産を差し押さえられるまでの流れとは

資金繰りへの悪化により取引先への支払いが滞ると、会社の財産を差し押さえられてしまうリスクがある事は事実です。ここでは、一般的な取引先からの債権回収の方法と流れについて解説しているので、支払いを滞納している場合の会社や経営者ご自身の財産へのリスクについて確認してみて下さい。

取引先が差し押さえを行うには、裁判所から強制執行の許可をもらう必要がある

まず理解しておくべき事は、取引先への支払いが少し遅れたり一定期間滞納が続いた場合でも、直ぐに会社や経営者の財産が法的に差し押さえられるリスクは非常に低いという事です。 これは、取引先などの債権者側が差し押さえをするのには裁判所から強制執行の許可を取る必要があり、その手続きを経て財産が差し押さえられるには半年から1年程度の時間がかかるからです。

かといって、滞納を続けても差し押さえなどの強制執行のリスクが無いかと言うとそう言うわけでもありません。 会社の債務には優先順位が決められており、税金や従業員への給与はその中でも優先して支払う必要があります。そのため、仮に取引先へは問題無く支払いを行なっていても、税金の支払いを滞納してしまうと直ぐに督促が届き差し押さえのリスクが高まる事になります。 ここで重要なポイントは、税金を回収する国は非常に強い債権回収の権限を持っており、通常は一年かかる差し押さえを、すぐに行うことができてしまうということです。

まずは、取引先への滞納が続いた場合のリスクを理解すると同時に、会社の資金繰りに困った時に優先して支払うべき債務についても事前に確認しておく事で、突然差し押さえにあってしまうというリスクを回避する事ができるでしょう。

債権者には財産処分を防ぐ「仮差し押さえ」という手段も!差し押さえの前に、銀行口座などの財産が凍結されてしまう

取引先から直ぐに差し押さえにあうリスクが低いとはいえ、何も対策をする必要が無いかと言うと、そんな事はありません。取引先などの債権者には差し押さえとは別に「仮差し押さえ」と言う手段が存在しているからです。

取引先をはじめとする債権者は、仮差し押さえをする事で差し押さえよりも簡単に債務者の銀行口座などを一時的に凍結し、その会社の現金などの財産が事前に処分されるのを防ぐ事ができます。

仮差し押さえの場合、差し押さえとは異なり裁判所から早ければ一週間程度で許可をもらう事ができるため、気づいたら会社や自身の財産を引き出したり使用したりできなくなっている事も珍しくはありません。 仮差し押さえをされてしまうと、会社の銀行口座が凍結されるので、一気に資金繰りが悪化し税金を支払えなかったりと、他の支払いに大きな影響を与えます。

また、仮差し押さえによって銀行口座が凍結されてしまうと、いざ会社を倒産させようと手続きに進む際にもこの預金は破産管財人によって回収され債権者に分配される財産(財団債権)として扱われることになります。 そのため、実際に預金口座を仮差し押さえされてしまうと倒産・破産手続きに充てる費用が無くなり、正式に倒産することができずに債務を免責できなくなってしまうリスクも存在しています。

このように仮差押えは非常に大きなリスクになりますが、実は、弁護士を立てて倒産の手続きを開始することで、仮差押えのリスクをゼロにすることができます。

もしあなたの会社が既に取引先への支払いを滞納してしまっている場合、資金繰りの改善の見込みが無いようであれば、会社の倒産も検討した上で直ぐに弁護士に相談し対応を考えることをお勧めします。

会社の倒産や破産前、取引先からの債権回収で会社の財産が奪われてしまう事も

では、もしあなたの会社が借金の返済や支払いを滞納しているにも関わらず、差し押さえや仮差し押さえにあっていなければ安心なのでしょうか。残念ながら、そんな事はありません。むしろ取引先との関係においては、この二つの方法以外でも、あなたや会社の財産が奪われてしまうリスクがあります。

差し押さえや仮差し押さえでは、手続きに一定の時間がかかるだけでは無く、債権者側も債権を回収する目的を裁判所にしっかりと示す必要があります。そのため、正式な手続きを踏んで、財産を回収するのは取引先など債務者にとって負担の大きなことです。

しかし、取引先も必死です。あなたから債務の回収ができなさそうだとわかると、最悪の場合裁判所への手続きを行わずに、独自であなたの会社にある在庫や資産など、現金化できそうな財産を持って行ってしまうことがあります。

通常、いくら支払いが滞納されていたとはいえ、取引先や他の債権者がが裁判所の許可も無く会社の財産を勝手に持っていく事は窃盗罪にあたります。 しかし、債権者である取引先にも債権回収目的で弁護士がついている場合もあり、違法にならない方法であなたの会社の財産を持って行かれてしまう可能性があるのです。

実は、会社を倒産させようと計画している経営者にとって、これは最も気をつけるべき事の一つです。

あなたの会社の財産が持って行かれてしまうと、最悪の場合会社を倒産させるための資金自体が無くなり、本来できたはずの倒産や破産手続きができなくなってしまいます。そうなると、経営者自身も債務が免責されずに、借金の返済に追われ続けてしまう事になります。

このような事態を避けるためにも、会社の支払いが滞り始めた時点で、会社を倒産させるのに必要な費用を把握しそのための資金や代わりになる財産をどのように守っていくのか事前に弁護士に相談することを強くお勧めします。

融資や借入に抵当権が設定されている場合は・・・?担保は直ぐに差し押さえられる

あまりないケースですが、銀行から融資を受けたり、資金の借入を行う際には、会社の不動産に抵当権を設定される事があります。 この場合、担保として設定されている不動産や他の財産は強制的に差し押さえられてしまいます。 詳しくは、経営者が会社の倒産時に銀行に対して行うべき対応で整理していますのでぜひ読んでみてください。

会社を倒産・破産させる際の注意点。経営者が取引先への対応で注意するべき2つのポイント

会社を倒産・破産させる際の注意点。経営者が取引先への対応で注意するべき2つのポイント

会社の資金繰りが悪化し、会社を倒産させる事は経営者にとっては辛い事です。また、実際に会社を倒産する事で、取引先や従業員、またご家族への影響は少なからず出てしまうことは事実です。

しかし、倒産や破産の手続きは会社や個人の借金を帳消しにし、再度社会的な活動に向けて法的に立ち上がらせるための手段でもあります。

ここでは、倒産の手続き中に他のトラブルが原因で債務を免責できないなど、さらに影響を大きくさせないためにも、会社の倒産に向けた適切な対応を以下で確認してみて下さい。

1. 会社を倒産させると決めたら、取引先への新規受注や発注はやってはいけない!

もしあなたが会社を倒産させると決めたのなら、継続して取引先から新しい受注を受けたり、追加の発注をかけるのはやめましょう。

倒産間近の会社では、社員の給与の未払いや銀行への滞納も珍しくありません。そのため、経営者として取引先から少しでも仕事を受注できれば、たとえその仕事を完了できなくても、その資金で他の債務を返済しようと考えてしまうかもしれません。

しかし、既に倒産が避けられない状況なら、初めから受注に対して納品を完了できないことは明らかです。商品の提供が出来ないと分かっている状態で受注だけを行い、もらった金額を別の支払いに充てる事は取引先との新たなトラブルを生む原因になります。同様に、会社を倒産するからどのみち支払いができないと分かっている状態で、追加の発注をかける事もやめましょう。

実際に経営者の方の中には、倒産直前に受注だけ行い、受注した金額で少しでも債務を減らそうとしたり、経営者自身の役員報酬として自身の財産確保に回してしまう人もいます。

しかし、倒産手続きにおいてこれが悪質な受発注だと認められてしまえば、受け取った金額の一括返済を求められたり、経営者自身が手続き後も免責が受けられないなどのリスクがあります。

もし、現在会社の倒産に向けて既に動いているのなら、新たな受注の可能性がある時は、その仕事は受けるべきなのか、一度弁護士に相談してみる事をお勧めします。

2. 特定の取引先だけに優先して支払いをすると、倒産や破産ができないことも!【偏頗弁済】

取引先も必死なので、かなりしつこく返済を迫ってくる場合もあるでしょう。それは大きなストレスなので、黙ってもらうためにも「せめてこの会社だけには残りの現金から支払いをするか・・・」と考えてしまうこともあるかもしれません。 しかし、倒産の手続きを開始した後に、特定の債権者だけに優先して支払いを行うことは禁止されています。 一部の取引先に優先して支払いをすると、支払ってしまった金額を後から返してもらう必要があり、返済がされないと以下のようなリスクが生じてしまいます。

返金されるまで、破産手続きを行うことができない 返金がされないまま手続きが進み、手続きを終えても経営者は借金を背負い続ける

一方で、債務の中には税金や従業員への給与などあえて優先して支払わなければいけないものがある事も事実です。また、銀行への返済が滞ると銀行口座がいつの間にか凍結されており会社の現金を自由に利用できない事もあります。

倒産手続き開始後や、手続きに向けて動いている段階では闇雲に特定の取引先に支払いを行うのでは無く、まずは何を優先的に支払うべきなのか弁護士に相談してみましょう。

弁護士を雇い倒産・破産手続きを開始する事で、差し押さえや取り立ての心配はなくなる!

弁護士を雇い倒産・破産手続きを開始する事で、差し押さえや取り立ての心配はなくなる!

会社の資金繰りが悪化し、倒産を検討している段階から会社や経営者自身の財産を保全することが最重要だと説明してきました。 しかし、実際の倒産手続きを進める場合には、弁護士を雇う事で取り立てや差し押さえによって財産奪われてしまう不安からは解放される事ができます。

弁護士を雇い受任通知を送る事で、取引先や他の債権者からの取り立てや督促の対応を弁護士に一任できる

会社を倒産させる上で弁護士を雇う最大のメリットは、取引先や従業員、銀行など全ての債権者に対する対応を一任できる事です。 そのため、弁護士を雇う前は会社や経営者自身に来ていた取り立てや督促への対応も、弁護士の受任通知を債権者に送る事で、全ての取り立ては経営者ではなく弁護士に行く事になり、その対応を一任する事ができます。

破産申し立てをする事で全ての財産の差し押さえや、不当な略奪ができなくなる

正式に破産申し立てを行い破産手続きを開始する事で、会社や連帯保証人である経営者が持っている財産は、債権者に平等に割り振られるためのものとなり、債権者側は差し押さえや仮差し押さえする事ができなくなります。 そのため、取引先に不当に財産を持って行かれてしまった場合でも、それが破産手続き開始通知後であれば、法的に返却を要求する事ができます。 また、弁護士を雇う事で、破産手続きを始める前に財産を現金化し弁護士に預かってもらうことなどより確実に財産を保全する事ができるのも事実です。

会社が倒産・破産すると、取引先への影響は?会社を倒産させる事で取引先にもメリットが!

会社が倒産・破産すると、取引先への影響は?会社を倒産させる事で取引先にもメリットが!

もしあなたの会社の事業が不運にも上手くいかず会社を倒産する事になれば、取引先も一定の影響を受けることになります。

ここでは取引先への影響について解説していきます。

取引先は泣き寝入り必至?債権届出をしても滞納された売掛金などの債権はほとんど回収できない!

結論から言うと、あなたの会社が倒産すると、取引先はこれまで滞納されていた金額やそのほかの債権の1割も回収できない事がほとんどです。実際は、債権の1%程度や、最悪の場合何も回収出来ない事も珍しくありません。

取引先や他の債権者への返済(配当)は債権者集会で優先的破産債権を除いて平等に割り振られる

また、債権の中でも税金や従業員への給与は、優先的に支払いをする必要があると決められています。 実際の破産手続きでは、破産管財人と呼ばれる手続きを担当する弁護士により債権者集会が開かれ、その中で税金や従業員への未払い給与である労働債権への配当の残りを、債権者に平等に割り振る事になります。

そのため、どんなにお世話になった取引先でも、税金や従業員の給与を支払ってしまと、配当として受け取れる金額は、ほとんどないというのが現実です。

このように、取引先は債権の回収が難しいと理解しているため、支払いの滞納が続くと倒産手続きに入られる前にどうにかあなたの会社の財産を差し押さえようと行動してくるのです。 実際に取引先が取り立てや差し押さえを通してどのように債権を回収してくるのか、一度確認した上で、倒産手続きに向けては会社の財産をしっかりと管理できる体制を直ぐに整えて下さい。

実は倒産することで債権者にはメリットも!会社が倒産すれば取引先は「貸倒引当金」として費用処理が可能になる!

取引先には迷惑がかかってしまうとはいえ、会社を正式に倒産させる事で取引先にも一部メリットが存在します。 それは、取引先側では回収出来なかったお金を「貸倒引当金」として費用計上できるという事です。

取引先側の会社では、取引が発生し売り上げが立っている以上、手元に実際に入金がない状況でも税金対象となってしまいます。つまり、取引先は「お金は入ってこないのに税金だけ払わないといけない」という状況になり、取引先側の資金繰りが悪化する原因にもなりかねません。

長年お付き合いのある取引先に迷惑を重ねてかけないためにも、滞納が続く場合は早めに倒産や破産を検討してみましょう。

会社の資金繰り状況を確認し、取引先への適切な対応を!

いかがでしたでしょうか。

ここまで、会社の資金繰りが悪くなってしまった時に、会社の状況に応じて経営者が取るべき対応や、会社が倒産した場合の取引先への影響について解説してきました。

もしあなたの会社が一時的な資金繰りの悪化に苦しんでいるようであれば、まずは会社の事情を説明し取引先への支払い期日の変更が可能か交渉してみて下さい。 一方で、資金繰りの改善の目処がない場合は、会社の倒産や破産も考えた上で経営者として取るべき対応や注意点を確認し、直ぐに行動を開始する事をお勧めします。

会社の経営状況は常に変化しています。

もし、あなたの会社が既に取引先への支払いが難しい状況なのであれば、一度早い段階で倒産や破産に精通した弁護士に相談し、今後の対応や会社を倒産させるべきかの判断について相談してみると良いでしょう。

皆さんの会社や、皆さんご自身に影響が少ない形で、問題を解決できることを祈っています!

※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。

※本サイトでは一般の読者にとっての分かり易さを優先し、法律上の厳密な意味と一部異なる用語が存在しています。ご了承ください。

経営リスクバスターズでは、会社の倒産・破産を専門とする弁護士と協力し、経営者を守るプロの知識を発信しています。

  • 資金繰りが悪く、債権者からの取り立てに悩んでいる
  • 既に支払いの滞納が続いており、いつ差し押さえに合うのか不安
  • 会社を倒産させても、家族や従業員への影響は最小限に抑えたい
  • 会社が破産すると経営者の生活はどうなるのか分からない

これらの悩みを持つ方は、まずは弁護士に相談してみましょう!