会社の資金繰り悪化でオフィス家賃滞納直前・・・大家さんに必要な対応とは?

更新日: September 7, 2020 3:00 AM

銀行・取引先などの債権者対応

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Q 経営者からの質問

 経営している会社が急拡大し、1年前に業務拡大に伴って新しく広い事務所に引っ越しました。しかし数カ月前に得意先との契約終了が重なり、資金繰りが急速に悪化してしまいました。
 銀行への返済や仕入先への支払もある中で、オフィスの賃料の支払がかなり厳しくなっています。このままいくとオフィスの家賃を滞納する事になるかもしれないのですが、家賃を滞納するとすぐに追い出されてしまうのでしょうか。オフィスが無いと業務を続けることができずとても不安です。大家さんに交渉することもできるのでしょうか。

A 弁護士からの回答

 もちろん賃料の滞納は良いことではありませんが、仮に一カ月分の家賃を滞納してしまってもすぐに強制退去などの措置に合うことは無いので、安心して下さい。しかし、今後資金繰りがさらに悪化し家賃の滞納を続けてしまったり、賃料以外の債務との支払いの順番を誤ると、会社に大きな影響が出てしまうことも事実です。
 まずは、この記事で家賃が支払えない場合の大家さんへの対応や、滞納した場合の影響について解説しているので確認してみて下さい。

資金繰り悪化で家賃が払えない・・・オフィス・店舗は強制退去?経営者が大家さんにやるべき対応

資金繰り悪化で家賃が払えない・・・オフィス・店舗は強制退去?経営者が大家さんにやるべき対応

会社の資金繰りが悪化すると様々な取引先への支払いが難しくなり、大家さんへのオフィスの賃貸料金の支払いも可能であれば支払いを待ってもらいたいものです。

もし、あなたの会社が既に資金繰りの悪化に苦しんでおり、大家さんに対してどのような対応を取ればいいのか悩んでいるのであれば、まずはこの記事で経営者がやるべき対応と、家賃の滞納を続けた場合のリスクや影響について理解して下さい。

また、記事の後半で、会社を実際に倒産・破産させる際のオフィスの賃貸料金の支払いや大家さんへの対応についても解説しているので、会社の倒産に向けて準備を進めている人はぜひ読んでみて下さい。

オフィスの家賃滞納はするべきではない!信頼関係の破壊を避けるためにも、まずは大家さんに相談し支払える分だけを支払う

まず、結論から言いましょう。もし、あなたが今後もその事務所・店舗で事業を続けていきたいのであれば、家賃の支払いを全額でなくても、その段階で支払える金額分だけを支払わせてもらえるよう大家さんに今すぐ交渉する事をお勧めします。

通常のオフィスの賃貸借契約書では、2ヶ月間支払いを滞納すると、大家さん側から契約を解除し強制退去にできると契約で決められている事が一般的です。 このため、もしあなたの会社が資金繰りの悪化を理由に2カ月以上の滞納してしまうと、事業継続に必要なオフィス・店舗を強制退去することになりかねません。

しかし実は、たとえ全額ではなくても、多少なりとも支払いを続けることで「滞納」したことにはならないのです。滞納さえしなければ、強制退去のリスクからは逃がれることができるようになります。

まずは強制退去を避けるためにも、大家さんに会社の状況を説明し、会社の資金繰りが悪い中でも支払える額を支払わせてもらえるようすぐに交渉する事を強くお勧めします。

また、資金繰りが苦しくなった状態では、オフィスの家賃の支払いだけではなく税金や銀行への返済、従業員の給与や取引先への支払いなど様々な支払いが難しい中でどの支払いを優先的に行うべきかも重要です。事前に確認し、会社への影響を最小限に抑える方法も確認してみて下さい。

オフィスの家賃滞納分を敷金で相殺する事はできないと理解しておく

また、大家さんに支払額の減額を交渉する際に、敷金を差額分に充ててもらう事は通常できません。通常の賃貸借契約書では、オフィスの賃料を滞納したい場合に敷金を充てることはできないと明記されている事が一般的です。 一方で、あなたがオフィスや店舗の賃料を滞納してしまった場合、大家さん側が敷金を滞納分に充てて支払いを待ってくれるケースはあるかもしれません。 しかし、こちらから支払い額の減額や支払い期日のリスケ交渉を行う際に、敷金を交渉材料として積極的に持ち出すのはやめた方が良いでしょう。

もし資金繰りが改善する見込みがないなら、早い段階で弁護士に相談して事業を継続するのか会社を倒産・破産させるべきか判断する

家賃を少しずつ支払えば直ぐに強制退去とはならないとは言え、それでも資金繰りが悪化し手改善する見込みが無いならば、事業継続は厳しいと言えます。 そのまま事業を続けると、家賃の未払いが重なり、大きな借金を背負うことになりかねません。 もし将来的にも家賃を支払う見込みや自信がなければ、借金を帳消しにして借金を背負わないように会社を倒産・破産させるという選択肢も真剣に考える必要があります。なるべく早いうちに、倒産・破産に精通した弁護士に相談してみて下さい。

実際に、会社を倒産・破産に向けて手続きを進めるには一定の費用がかかることも事実です。特に、資金繰りが悪くオフィスや従業員の給与、銀行や取引先への支払いが難しくなってきた状態では、倒産手続きに必要な費用を予め理解しておくためにも早い段階で倒産や破産に精通した弁護士に相談する事をお勧めします。

会社の倒産に向けて必要な手続きだけではなく、会社を倒産させた場合に経営者の家族に与える影響や、家族を守るためにできる事、また、経営者自身の財産を最大限残すために経営者ができることについても事前に弁護士に相談する事で私生活への影響を最小限に抑えることができるようになるでしょう。

オフィスの家賃滞納で会社への影響は?滞納から強制退去や大家さんから差し押さえまでの流れ

オフィスの家賃滞納で会社への影響は?滞納から強制退去や大家さんから差し押さえまでの流れ

では、もし資金繰りの悪化で家賃を滞納してしまった場合に、会社にはどのような影響やリスクがあるのでしょうか。

家賃保証会社が滞納分の家賃を立替て弁済してくれる

もし、あなたがオフィスや店舗を借りる時に、大家さんとの賃貸借契約に加えて家賃保証会社との契約も結んでいれば、あなたが家賃を滞納しても自動的に家賃保証会社が滞納分の家賃を立替て大家さんに弁済してくれます。ですので、すぐに大家さんに迷惑がかかるわけではありません。

しかし、これは家賃を支払う相手が大家さんから家賃保証会社へと移っただけで、あなたが家賃の支払いをしなくて良くなったわけではありません。

むしろ家賃保証会社の方が、組織的に家賃の回収を行う分、取り立ては細かく・厳しくなるケースもあります。もし家賃保証会社と契約をしているならば、以下で説明する取り立てや督促は全て家賃保証会社から行われる事を覚えておきましょう。

オフィス賃料の滞納が続くと家賃保証会社から督促の連絡や取り立ての電話が来る

実際にオフィスの家賃の支払いを滞納すると、家賃保証会社から取り立てや督促の連絡が来ることになります。

その連絡は無視したりせず、誠実に対応しましょう。もし資金繰りが苦しいのが一時的なのであれば、事情を説明して支払メドを伝えましょう。そうすれば、家賃保証会社もいったんは支払を待ってくれることがあります。

督促が来ても家賃が支払われなければ連帯保証人にも取り立てや催告の連絡が行ってしまう

しかし、家賃保証会社から取り立てや督促の連絡を受けても会社の資金繰り改善の目処が立っておらず支払いができそうにない場合には、家賃保証会社から連帯保証人の元にも取り立ての連絡が行くことになります。

もし、連帯保証人に連絡が行った場合、連帯保証人は有無を言わさずその時点で家賃をあなたの代わりに支払わなければいけません。

会社がオフィスの賃貸借契約を結ぶ際は、経営者自身や経営者のご家族が連帯保証人になっている場合もありますが、そうなると経営者やご家族が会社の代わりに自分達の資産を切り崩して家賃を支払わなければいけないのです。

もし、既に資金繰りが悪く会社の債務が連帯保証人へ移行してしまいそうな場合、連帯保証人への影響を最小限に抑えるために経営者がやるべき事は事前に確認しておく事をお勧めします。

強制退去!賃貸借契約を元に、一定期間滞納を続けると大家さんから契約解除され追い出されてしまう

もし、督促や取り立ての連絡が来ても全く家賃を支払おうとせず、家賃を滞納し続けた場合、大家さんから強制退去の連絡が来ることになります。

どのくらい滞納すると強制退去になるのかは、オフィス・店舗を借りる際に結んだ賃貸借契約で定められています。一般的には2-3カ月でしょう。契約書に定められている期間の家賃を滞納し続けると、大家さんや家賃保証会社はあなたの会社を強制退去させることができます。

資金繰りの悪化でオフィスの家賃が支払えない時に経営者が大家さんに対してやるべき事にて解説している通り、完全に支払いをしないと滞納扱いとなってしまうため、少しでも良いので支払を行いましょう。いま支払える金額を大家さんに伝えて相談し、滞納処分が続かないように少しずつでも支払いをすることですぐに強制退去となることを回避できます。もちろん、その後にしっかりと未払い分の家賃は支払えるよう計画を立てることも忘れてはいけません。

また、もし既に家賃の滞納を続け強制退去の連絡が来ている場合、会社の倒産や破産も選択肢に入れた上で会社の今後について今すぐに弁護士に相談する事を強くお勧めします。

強制退去となった後でも滞納してきた家賃は債務として残り続ける事になります。また、このような状態では他の支払い先への滞納も続いている可能性が高く、会社として債務超過の状態にある可能性が高いです。

その場合、今すぐに会社の倒産を検討し動き出さないと、倒産手続きに必要な資金も無くなり、経営者やご家族の今後の生活も危うくなってしまいます。 もし既に家賃の滞納が続いているようであれば、今すぐに弁護士に相談してみましょう。

大家さんが差し押さえをするには裁判所から強制執行の許可をもらう必要があり、一定の時間がかかる

また、大家さんや家賃保証会社への家賃の支払いを滞納した場合でも、会社や連帯保証人である経営者個人の財産がすぐに差し押さえられてしまう事はありません。

通常、差し押さえなどの強制執行手続きをとる場合、債権者である大家さんや家賃保証会社は裁判所に申し立てを行い許可をもらう必要がありますが、これには通常半年から1年程度の時間がかかるからです。

資金繰りの悪化でオフィスの家賃を滞納している場合でも、差し押さえなどの強制的な手続きについては、心配する必要はないでしょう。

ちなみに家賃以外の債務の中には滞納が続くとすぐに差し押さえなどの強制執行手続きにあってしまうものも存在しています。会社の資金繰りが苦しい時に差し押さえを免れるにはどの支払いや債務を優先的に支払っていくべきかについて、一度確認してみて下さい。

会社の倒産や破産を検討するなら・・・手続きに向けて経営者が大家さんに取るべき対応とは?

会社の倒産や破産を検討するなら・・・手続きに向けて経営者が大家さんに取るべき対応とは?

では、もしあなたの会社がこれ以上資金繰りの改善が難しく、会社を倒産・破産させることを決意したとします。その時に経営者が大家さんに対して取るべき対応についてここでは解説していきます。

倒産手続きが完了するまでオフィスの賃料の支払いを止め、滞納した家賃も追加で返済はしない

もしあなたが会社の倒産や破産手続きに向けて準備を進める場合、まずはじめに行うべき事は手続きや弁護士費用の確保です。

会社を倒産や破産させる意味は、会社の消滅と共に会社の債務が全て清算され会社がこれまで背負っていた借金が帳消しになる事です。一方で、この手続きを行うのにも一定の費用がかかり、もしこの費用が支払えないと最悪の場合ずっと会社の債務に追われ続けることになってしまいます。

そのため、もしあなたの会社がこれ以上再建できる目処がなく、倒産や破産を検討しているのであれば、手続きの費用確保のためにも、賃料の支払いをその時点で止め、手続き費用として保管しておきましょう。

滞納した家賃の支払は、倒産・破産の処理の中で行うことになります。

弁護士を雇い受任通知を送付する事で取り立てや督促への対応を全て弁護士に委任できる

また、弁護士を雇い、その旨を支払いを滞納している大家さんや家賃保証会社などの債権者に通知する事で、取り立てや督促の対応を全て弁護士に一任することができます。

また、弁護士の受任通知を送る前であれば、家賃保証会社など債権者側が滞納された債権をどうにか回収するために、銀行口座預金の凍結や、会社の在庫を不当に持って行ってしまうなどの厳しい行動を取ってくる可能性があります。そうなると、結果的に会社を倒産させる費用すら無くなってしまいかねません。

会社を倒産すると決めたらすぐに弁護士を雇い受任通知を送る事で、不当に財産を差し押さえられたり、過度な督促や取り立ての連絡に苦しむ事も無くなります。まずは、早急に弁護士を雇い、手続きを進められる環境を整える事から始めましょう。

会社の倒産後のオフィスの空け渡しも弁護士に一任できる!

また、オフィスの賃料を滞納したあとで会社を倒産させた場合、経営者が最も気まずいオフィスの受け渡しの業務も弁護士を雇えば、弁護士に一任することができます。

会社を倒産させた場合、オフィスにある現金化できるものは倒産手続きにて現金化されて清算されますが、それ以外の物資はそのままオフィスに残される事になり、通常この状態でオフィスは大家さんに空け渡される事になります。

大家さんの立場では、会社の不要物資の処分や現状復帰費用を負担する必要があるため、オフィスを借りていた会社に綺麗にして空け渡しをしてもらいたいものですが、既に会社は倒産しなくなっているので、そのことを大家さんに説明し理解してもらうしかありません。

オフィスを借りている間、連絡を取っていた経営者自身が直接大家さんに説明する事は心苦しく、気まずい思いをするかもしれませんがこの空け渡し作業も弁護士に依頼する事もできるため、弁護士を通して説明してもらいましょう。

オフィスの家賃の支払いに困ったら・・・資金繰り対策や会社の倒産・破産に向けた対応もまずは弁護士に相談!

これまで、会社の資金繰りが悪化しオフィスの賃料が支払えない場合の対応や、滞納を続けることで会社に降りかかるリスクについて解説してきました。

もし既に会社が資金繰りで苦しんでいてオフィスの家賃の支払いが難しいなら、今後の事業を継続し経営状態を改善していくためにも、まずは資金繰りが悪化し家賃の支払いが難しい場合の経営者が取るべき対応を確認し、今すぐに取るべき行動について理解し動き始めることを強くお勧めします。

また、どうしても会社の資金繰りが改善しない場合や、既に会社の倒産を検討している場合は今すぐに弁護士に相談し、必要であれば会社の倒産に向けた手続きに向けて早急に動き出して下さい。特に、倒産手続きを進める場合は、会社や経営者自身の財産を守るためにも、法的に専門性のある弁護士の協力は必要不可欠です。

早い段階で対策を考え、皆さんの会社や皆さん自身、またご家族への影響が最も少ない形で問題を解決できることを祈っています!

※本記事は、経営リスクバスターズ編集部が専門家にヒアリングを行った上で記事を執筆し、専門家に監修を受けたものです。

※本サイトでは一般の読者にとっての分かり易さを優先し、法律上の厳密な意味と一部異なる用語が存在しています。ご了承ください。

経営リスクバスターズでは、会社の倒産・破産を専門とする弁護士と協力し、経営者を守るプロの知識を発信しています。

  • 資金繰りが悪く、債権者からの取り立てに悩んでいる
  • 既に支払いの滞納が続いており、いつ差し押さえに合うのか不安
  • 会社を倒産させても、家族や従業員への影響は最小限に抑えたい
  • 会社が破産すると経営者の生活はどうなるのか分からない

これらの悩みを持つ方は、まずは弁護士に相談してみましょう!